「周りの就活生がChatGPTを使っているらしいけど、自分は『自己PR書いて』くらいしか使ってない…」 「AIで作った志望動機、なんとなく薄っぺらくて提出するのが怖い」 「企業研究とかOB訪問の質問とか、もっと実践的なことに使えないの?」
2024年以降、就活戦線には「AI格差」が生まれています。 同じ大学、同じような経験値でも、生成AI(ChatGPT、Gemini、Claudeなど)を「ただの検索ツール」として使うか、「優秀な参謀」として使うかで、内定の質とスピードに雲泥の差が出るからです。
しかし、安心してください。AIから良い回答が返ってこないのは、あなたの能力のせいではありません。「頼み方(プロンプト)」が少し惜しいだけです。
就活におけるAI活用で最も重要なのは、「採用担当者の視点」をAIにインストールさせること。
この記事では、ES作成から面接、GD、OB訪問に至るまで、就活の全フェーズにおける「失敗プロンプト(Before)」と「成功プロンプト(After)」を比較解説します。
これを読めば、あなたのAIは「ありきたりな就活生」から「トップ内定レベルの就活生」へと、あなたを引き上げてくれるはずです。
第1章:なぜ、あなたのプロンプトは「就活」で通用しないのか?
具体的な改善事例に入る前に、就活におけるAI活用の「最大の落とし穴」を知っておきましょう。
AIは「平均点の優等生」になりたがる
ChatGPTなどのAIは、インターネット上の大量のデータを学習しています。そのため、文脈を与えずに質問すると、「誰からも嫌われない、無難で平均的な回答(=就活で最も落ちる回答)」を生成する癖があります。
- 失敗する人(改善前): 「志望動機を書いて」(背景ゼロ=ネットに転がっているような例文が出る)
- 成功する人(改善後): 「私は『泥臭い営業』が得意です。御社の『顧客第一主義』という理念と、私の『100軒飛び込み営業した経験』を紐づけて、熱意が伝わる志望動機を書いて」(背景アリ=あなただけの強力な武器になる)
就活で勝つためには、AIの「平均化バイアス」を打ち破る、尖ったプロンプトが必要なのです。
第2章:【企業研究編】HPの「要約」から「戦略分析」へ
「御社の強みは何ですか?」と面接で逆質問して、「HP見ればわかるよ」と思われたくないですよね。AIを使えば、投資家レベルの企業分析が一瞬で終わります。
事例1:ライバル企業との差別化を一発で見抜く
❌ 改善前:失敗プロンプト
入力: トヨタ自動車の強みを教えてください。
▼ AIの出力(イメージ)
トヨタは世界的な自動車メーカーです。強みは「カイゼン」方式による生産効率の高さや、ハイブリッド技術、そして世界中に販売網を持っていることです。
💀 なぜダメなのか? これではWikipediaの要約レベルです。ESや面接でこれを話しても、「よく調べてるね」とは言われません。就活で必要なのは「競合と比べた時の、その会社独自の立ち位置」です。
⭕️ 改善後:成功プロンプト(3C・SWOT指定)
ビジネスマンが使う分析フレームワークをAIに使わせます。
入力: あなたは自動車業界専門の経営コンサルタントです。 就職活動の企業研究のために、トヨタ自動車について以下のフレームワークを用いて分析してください。
【分析手法】
- 3C分析(Customer/市場、Competitor/競合、Company/自社)
- SWOT分析(強み、弱み、機会、脅威)
【特に知りたいこと】 ・EV(電気自動車)市場において、テスラやBYD(中国企業)と比較した際の、トヨタの**「勝ち筋」と「課題」**は何ですか? ・就活生が面接で言及すると「鋭い」と思われる視点を1つ教えてください。
✨ 改善ポイント 「テスラと比較して」のように具体的な比較対象を出し、「勝ち筋と課題」を聞くことで、AIは表面的な情報ではなく**「企業の戦略」**を語り始めます。これこそが、面接官が求めている「深い企業理解」です。
第3章:【自己PR・ガクチカ編】「量産型」から「唯一無二」へ
「サークルの副代表で潤滑油になりました」。これ、何万人の学生が書いていると思いますか? AIを使って、あなたの経験を「刺さるストーリー」に変えましょう。
事例2:ありきたりな経験を「ドラマチック」にする
❌ 改善前:失敗プロンプト
入力: カフェのバイトで売上を上げました。自己PRを書いて。
▼ AIの出力(イメージ)
私は課題解決力があります。カフェのアルバイトで、お客様のために笑顔で接客し、おすすめ商品を提案することで売上に貢献しました。貴社でもこの力を活かしたいです。
💀 なぜダメなのか? 具体性がゼロです。「笑顔で接客」は当たり前であり、アピールになりません。数字やプロセスがないため、AIも抽象的なことしか書けないのです。
⭕️ 改善後:成功プロンプト(STAR法+ペルソナ指定)
あなたの経験の「解像度」を極限まで高めてAIに渡します。
入力: あなたは大手総合商社の採用担当者で、何万人ものESを見てきたプロです。 以下の私の要素をもとに、**「困難な状況でも、泥臭く周囲を巻き込んで突破する力」**が伝わる自己PR(400文字)を作成してください。
【私の要素(STAR法)】
- Situation(状況): 駅前のカフェ。競合店ができ、客数が前年比70%に激減。店長も諦めムード。
- Task(課題): 既存客の来店頻度を上げる必要があった。
- Action(行動):
- 常連客30人に「なぜうちに来るのか?」をヒアリング。
- 「仕事前の静かな時間が好き」という声に着目し、朝7時〜9時限定の『集中ワークセット(コーヒーおかわり自由)』を店長に提案。
- 反対するスタッフを説得するため、自ら朝シフトに入りオペレーションを回した。
- Result(結果): 朝の客数が回復し、月間売上が15%アップした。
【禁止事項】 ・「潤滑油」「コミュニケーション能力」という言葉は使わないでください。
✨ 改善ポイント 「反対するスタッフを説得」「自らシフトに入り」といった人間臭いエピソードを含めるのがコツです。また、「潤滑油禁止」のようなNGワードを指定することで、AIの手抜き(安易な言葉選び)を防げます。
第4章:【OB訪問編】「質問力」で印象を残す
OB訪問で「やりがいは何ですか?」なんて聞いていませんか? 貴重な時間を使って誰でも答えられる質問をするのは失礼にあたります。
事例3:仮説ベースの「質の高い質問」を作る
❌ 改善前:失敗プロンプト
入力: 広告代理店のOB訪問で聞くべき質問を教えて。
▼ AIの出力(イメージ)
- 仕事のやりがいは何ですか?
- 1日のスケジュールを教えてください。
- 入社前と入社後のギャップはありましたか?
💀 なぜダメなのか? これらはWebサイトの「社員インタビュー」を見れば載っています。OBが期待しているのは、「君、よく勉強してるね」と言いたくなるような質問です。
⭕️ 改善後:成功プロンプト(仮説検証型)
入力: 私は広告代理店の営業職を志望しており、明日、入社3年目の社員の方にOB訪問をします。 単なる質問ではなく、「私が事前に企業研究をしたこと」が伝わるような、「仮説を含んだ質問」を3つ作成してください。
【ターゲット】 入社3年目、デジタル広告部門の営業担当。
【質問の方向性】 最近の業界トレンド(Web広告の自動化など)を踏まえて、現場ならではの苦労や、人間にしかできない仕事の価値について聞きたい。
▼ 生成される質問例(イメージ)
「最近はAIによる広告運用の自動化が進んでいますが、『クライアントの潜在的な課題(言葉になっていない悩み)を引き出すこと』は、まだ人間にしかできない泥臭い領域だと推測しています。○○さんが現場で感じる『人間にしかできない営業の価値』とは、具体的にどのような瞬間に感じますか?」
✨ 改善ポイント 「〜だと推測しているのですが、実際はどうですか?」という仮説検証型の質問は、相手に「おっ、こいつはわかってるな」と思わせる最強の武器です。
第5章:【GD(グループディスカッション)編】論理的思考の壁打ち
「売上を2倍にする施策を考えてください」といったお題。GD本番でフリーズしないよう、AIを相手に練習しましょう。
事例4:フェルミ推定・ケース面接のシミュレーション
❌ 改善前:失敗プロンプト
入力: スタバの売上を上げる方法を考えて。
▼ AIの出力(イメージ)
新商品を出す、SNSで宣伝する、クーポンを配る…(アイデアの羅列)
💀 なぜダメなのか? GDで見られているのは「アイデアの面白さ」ではなく「論理的プロセス」です。いきなりアイデアを出すのは減点対象です。
⭕️ 改善後:成功プロンプト(思考のプロセス・CoT)
入力: あなたは外資系コンサルの面接官です。 **「スターバックスの日本国内の売上を2倍にする施策」**というお題に対して、私が論理的にアプローチできているかチェックしてください。
まず、現状分析とボトルネックの特定から始めたいと思います。 **「売上 = 客数 × 客単価」**に分解し、さらに客数を「新規×リピート」に分解しようと思いますが、このアプローチについてフィードバックをください。
ステップ・バイ・ステップで、私の思考の抜け漏れを指摘しながら議論を進めてください。
✨ 改善ポイント 「ステップ・バイ・ステップで」という言葉(Chain of Thoughtプロンプティング)を使うことで、AIは一度に答えを出さず、あなたの思考プロセスに伴走してくれます。これこそが、GDやケース面接の最強の練習法です。
第6章:【メール・連絡編】内定辞退の心理的負担を減らす
就活の最後に来る難関、「内定辞退」や「選考辞退」。電話ですべきかメールですべきか、文面はどうするか。悩みすぎて胃が痛くなる前にAIに頼りましょう。
事例5:失礼がなく、かつ引き止められないメール
❌ 改善前:失敗プロンプト
入力: 内定辞退のメール書いて。
▼ AIの出力(イメージ)
(形式的すぎて冷たい印象を与えたり、逆に理由を書きすぎて「一度話そう」と呼び出される隙を与えてしまう)
⭕️ 改善後:成功プロンプト(心理的配慮+クッション言葉)
入力: 第一志望群だったA社から内定をいただきましたが、熟考の末、別のB社に行くことを決めました。A社の採用担当者に送る**「内定辞退メール」**を作成してください。
【状況・制約】 ・A社の担当者には、リクルーターとして何度も相談に乗ってもらい、大変恩義を感じている。 ・電話をしたかったが繋がらなかったため、まずはメールで連絡するという文脈を入れたい。 ・辞退理由は「自身のキャリアビジョンとの合致」とぼかし、これ以上の引き止め(面談のお誘いなど)をやんわりとお断りする、決意の固さが伝わる文面にしたい。
【トーン】 非常に申し訳ない気持ちと、感謝の気持ちが伝わる、丁寧かつ誠実な文章で。
✨ 改善ポイント 「恩義を感じている」という感情面と、「決意は固い」という事実を両立させる指示が重要です。AIはクッション言葉(「大変心苦しいのですが」「不義理を働いてしまい」など)を適切に配置し、人間関係を壊さない大人のメールを作成してくれます。
第7章:就活AI活用における「3つの鉄則」
最後に、就活でAIを使うなら絶対に守るべきルールをお伝えします。
1. 固有名詞は「伏せ字」にする
ESやメールをAIに貼り付ける際、あなたの氏名、大学名、住所、電話番号は必ず削除するか、[氏名]のように伏せ字にしてください。 また、インターンで知った企業の未公開情報を入力するのもNGです。情報漏洩になります。
2. ハルシネーション(嘘)を疑う
「〇〇社の初任給は?」などの事実確認にChatGPTを使うのは危険です。平気で数年前のデータや嘘を出します。 事実確認はGoogle検索や公式サイト、文章作成やアイデア出しはChatGPTと、役割を完全に分けてください。
3. 最後は「自分の言葉」で魂を込める
AIが作ったESは綺麗すぎます。採用担当者は「優等生すぎる文章」を見ると、「ああ、AIっぽいな」と直感します。 AIが出した文章を土台にしつつ、あえて少し不格好な表現に変えたり、あなた自身の熱い感情を書き足したりして、「体温」のある文章に仕上げてください。
まとめ:AIは「カンニング」ではなく「最強の壁打ち相手」
「就活でAIを使うのはズルい」と思っていませんか? いいえ、違います。社会に出れば、AIを使って短時間で成果を出すことが求められます。就活でのAI活用は、社会人としての予行演習そのものなのです。
今回紹介したプロンプトを使えば、企業研究やES作成の時間は半分以下になります。 浮いた時間で何をするか?
AIにはできないこと——OB訪問で社員の熱量に触れること、自己分析で自分の過去と深く向き合うこと、そして友達と飲みに行ってリフレッシュすることに使ってください。
AIは「効率化」のために使い、あなたは「人間にしかできないこと」に全力を注ぐ。これが、AI時代の就活の必勝法です。
さあ、今すぐこの記事の「企業研究プロンプト」をコピーして、志望企業の分析を始めてみてください。きっと、今まで見えてこなかった「攻略の糸口」が見つかるはずです。
\就活をお得に進めたいあなたへ/
「シュートク」では、「就活をお得に進めるための」就活に役立つノウハウや特典情報を随時更新中!